白身のトロとも呼ばれる高級魚「ノドグロ」/さかなの日
近年はテレビや雑誌でも紹介され、その名を広く知られる様になった「ノドグロ」は、真っ赤な身体で、口の中は真っ黒。
そんな外見に対して身は真っ白。脂のりが抜群で「白身のトロ」ともよばれています。
今回はそんな「ノドグロ」についてご紹介します。

名は体を表す
近年一般的になってきたノドグロという呼び名ですが、これはもともと山陰や北陸などの日本海側で呼ばれていた名前。他の地域ではアカウオやキンギョ、ギョウスン、キンメなど様々な呼び方があります。
標準和名は「アカムツ」と言います。名前にムツとつく魚は数多くいますが、そのどれもが白身の魚で身に脂が多いのが特徴。それもそのはず、ムツという名前は、一般には脂が多いことを表す「むつこい」という四国地方の方言が由来とされています。
地方名も標準和名も特徴をよく表していますね。
いつかお手頃になるかも?
アカムツは海が時化る冬季には少なくなりますが、一年を通じて漁獲があり、主に底びき網や刺網、延縄漁で獲られます。
2013年、富山県水産研究所などが人工授精で生まれた仔魚の育成に成功しました。その後、2017年には体長約5cmほどの稚魚5.5万匹が放流されるなど栽培漁業に向けての研究が本格的に行われています。
ひょっとしたら近い将来、お手頃な値段でアカムツを味わえるようになるかもしれませんね。

本当は旬がない?
アカムツといえば「白身のトロ」と言われるほど身に脂がたっぷりとのった魚。その体脂肪は20%を超えますがくどさはなく、上品な甘味と濃厚な旨味を持っています。刺身や寿司、しゃぶしゃぶ、焼魚や干物、煮物にしても脂の旨みが味わえます。
地方によって様々な時期が旬とされていますが、2007年に島根県水産技術センターが5年間にわたってアカムツの脂の乗りを調査したところ、下記のような結果が出ました。
- 小さなものより大きなものの方が脂の乗りが良い
- 脂の乗りは季節による変化よりも1匹ごとの違いの方が大きい
- 見た目では脂の乗りは判断できない
つまり、アカムツは脂ののりに限って言えば「いつでも旬」というわけです。季節に関係なく美味しいのですから嬉しい話ですね。
ちなみに同じく島根県水産技術センターの研究によれば、アカムツの脂は食べているエサの種類や量によって違い、海域によってその味わいが異なるそうです。季節による旬よりも、獲られた場所による味の違いの方が楽しめるかもしれませんね。


Fのさかなおもしろ図鑑vol.4で
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