富山湾 春の味覚「蛍烏賊」/さかなの日

今回は海中で光る小さな魚「ホタルイカ(蛍烏賊)」です。

「ホタルイカ」とは

このイカがホタルイカと呼ばれるのは文字通り体がホタルのように光るから。夜にホタルイカが青く光る幻想的な光景などをニュース映像で見たことがある方も多いでしょう。一部では昔からホタルイカと呼ばれていた記録があるようですが、広く知られるようになったのは東京大学教授の渡瀬庄三郎博士が名付けたことがきっかけ。
明治38年(1905年)に、もともとホタルを研究していた渡瀬博士が富山湾で獲られる光るイカについて偶然知ったことに始まるそうです。Watasenia scintillans(ワタセニア・シンティランス)という学名も博士にちなんだもので、日本語に訳すと「Watacenia(渡瀬の)scintillans(キラキラと光る月の光)」という意味になります。学名がロマンチックですよね。

富山湾のホタルイカの特徴

富山県のホタルイカ漁は3月1日に解禁され、夜間に餌を求めて海の浅瀬まで浮いてくる習性を利用して定置網で獲ります。ホタルイカが産卵期を迎える3〜5月に漁獲しているので、他県より個体が大きめなのが特徴です。

ちなみにホタルイカの漁獲量の多い日本海西部海域の山陰沖や但馬沖では、ホタルイカが食事を終えて沈んで休んでいるときを狙うため、日が昇る頃に底びき網漁で漁獲されます。

地域によって漁法が違いますが、どちらもホタルイカの習性を考えた獲りかたですよね。

ホタルイカの食べ方

茹でたホタルイカのワタには強い旨味とほのかな苦味があり、また程よく弾力がありつつも柔らかい身はほんのりと甘く、酢味噌や醤油などをつけなくてもとても美味しい食材です。噛んだ時のぷつりとした歯ごたえの後に広がる味はたまりません。酢の物にしても煮物や天ぷら、またはアヒージョやパエリアにしても美味しさが楽しめます。

加工品ではホタルイカの煮干しもまた味わい深いもの。干されて味がぎゅっと凝縮したホタルイカをそのまま噛むのも良いですが、軽く炙るとこれがさらに美味しくなります。とろりとしたワタの強烈な旨味が身に絡んで手が止まらなくなります。酒の肴に人気の逸品です。

ホタルイカの目利き

生のものを店頭で買う時は「冷凍処理済み」と書いてあるものを選びましょう。茹でたものは体がふっくらとしていて、ツヤのあるものを選びましょう。

稀にホタルイカの内臓には旋尾線虫という寄生虫の幼虫が寄生していることがあります。全体の7%ぐらいと言われており数字にすると大したことがなさそうで油断してしまうかもしれませんが、しっかり処理したものであれば問題ありません。刺身や沖漬けといった生で食べる場合は-30℃以下で数日冷凍したものや、内臓を取り除いたものが安全です。しゃぶしゃぶで食べる時も30秒以上湯にくぐらせて、加熱していただくのがよいでしょう。

美味しくて安全な食には、一手間が大事ですね。

バックナンバー:Fのさかな45号「ホタルイカ」より

スタッフY

実はホタルイカの群れが海辺で輝く光景のことを「ホタルイカの身投げ」と呼ばれていて衝撃でした。あの幻想的な光景には正式な名称があり「ホタルイカ群遊海面」と呼ぶそうです。素敵な名称があって安心しました☺️

\ホタルイカの商品を取り扱ってます/
是非とも春の味覚をご堪能ください