香箱ガニ/さかなの日
石川県人が愛してやまない冬の味覚「香箱(こうばこ)ガニ」🦀のご紹介です。
「香箱ガニ」とは
香箱ガニは、11月6日の漁解禁から年末にかけての約2ヶ月と漁期が短く、とても貴重な冬の味覚です。
この時期に石川県で非常によく耳にするなじみ深いカニの名前なのですが、実は「香箱ガニ」という種類の蟹は存在しておりません。
石川県ではズワイガニの雌(めす)を「香箱ガニ」と呼んでいるのです。
名前の由来にはいろいろな説がありますが、「こーばくな」という石川県の方言で「マセている」や「大人ぶる」といった意味があり、小ぶりなのに成熟したズワイガニのメスを「こうばこ」と呼んだのではないかと言われています。「香箱」という漢字は後からついた当て字で、作家の五木寛之は『五木寛之エッセイ全集 2』の中で、金沢市長を務めたこともある岡良一から聞いたコウバコガニの名前についての話を記しています。それによるとコウバコガニの漢字が定まっていないのならということで、「日本海の香りを秘めたカニ」だから「香箱蟹」はどうかと言う話があったようです。素敵な当て字ですね。
ズワイガニとは
ズワイガニは日本海側で、特に北陸から山陰地方にかけての冬を代表する味覚であり、ズワイガニ属の中で最も高値で取引されています。日本海が荒れ始める晩秋を迎える頃、11月6日にズワイガニ漁が解禁になり、あちこちの港は活気にあふれます。
オスのズワイガニも各地方によっていろいろな呼び名がありますが、石川県では「加能ガニ」と呼ばれています。「加賀」と「能登」から1文字ずつ取って名付けられました。他の地域の福井県では「越前がに」、鳥取県では「松葉ガニ」と呼ばれています。
ズワイガニはタラバガニや毛ガニと並んで、日本人には馴染み深い蟹で、しっかり入ったその身にはたっぷりと甘味を含み、茹でて良し、蒸して良し、焼いて良し、鍋にしても勿論良し。刺身として供されることも多くなりました。
香箱ガニの食べ方
香箱ガニは塩ゆでして三杯酢でいただくのが一般的ですが、金沢では甲羅ごとおでんに入れる「蟹面(かにめん)」が人気です。
ちなみに「蟹面」は香箱ガニを剥いて甲羅盛りにしたものです。香箱ガニは雄の半分ほどの大きさで、脚の身は少なく剥きにくさがありますが、甲の内側に「内子」と呼ばれる未成熟卵と、腹部に「外子」と呼ばれる成熟卵を抱えています。内子と外子は香箱ガニで一番おいしい部分で、それを味わうために冬に石川県へ訪れる観光客もいるほどです。
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