日本の食文化を彩る「アジ」/さかなの日

石川県の味覚を代表する四季の魚のなかで、「夏の魚」に定められている「アジ」。
日本の食卓にとてもなじみの深い、海からの贈り物です。
夏祭りの喧騒と、朝市に並ぶ新鮮なアジ、夏の能登の風物詩です。
多くの種類のなかから、マアジを中心にご紹介します。

回遊するマアジとしないマアジ

 マアジは日本沿岸各地に分布し、水深200mまでの中・下層に生息しています。
 マアジには、回遊群と内湾定着群の2系があり、一般に前者は黒みを帯びているため「クロアジ」と呼ばれ、後者は体高が高く黄色いために「キアジ」と呼ばれています。回遊群であるクロアジは春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下する南北回遊を行います。定着群であるキアジは、季節的に沖と岸の間で移動を行います。同じマアジでも、食べ物の豊富な沿岸に住むキアジのほうが太って味が良いために、高い値がつきます。
 マアジは普通、数百〜数千尾の群れをなして泳いでいます。仔魚のあいだは微小な動物性プランクトンを食べますが、成魚になると、イワシやキビナゴ、ハゼなどの魚類や、小型のイカ類を食べるようになります。
 また、エチゼンクラゲとは共生関係にあるようで、仔稚魚の間はクラゲの傘の下に付いて身を守りながら、プランクトンを食べて成長することがあります。そのため、クラゲの生息数が多いと、アジの生息数も比例して増えるのです。

アジの群(のとじま水族館)

いろんなアジのある魚

 アジ科の魚は、全世界に25属、およそ140種類が生息しています。このうち日本に生息するのは23属53種ですが、一般的にアジ類として類別されているのは、マアジ属をはじめとして、ムロアジ属、オニアジ属、メアジ属、ギンガメアジ属、カイワリ属などに属する40種ほどの種類です。これらのアジは日本の食卓ではおなじみの魚で、マアジ、ムロアジ、シマアジなどは刺身や干物として、とくにムロアジなどは、独特の臭みをもつ干物「くさや」の原料として親しまれています。また、シマアジは、アジ類のなかでも最高級魚の代表格です。

  • アカアジ(赤鯵) ムロアジ属
    地方名:ひめあじ(名古屋)
    体が赤みがかかっているところから名づけられたとされる。
    漁獲量は比較的少ない。
  • オアカムロ(尾赤室) ムロアジ属
    地方名:あかむろ(西日本各地)、おあか(和歌山)、あかあじ(鹿児島)
    くさやによく使われる。名前の由来は生鮮時に尾びれが赤色をしているところから。
  • シマアジ(縞鯵) シマアジ属
    地方名:しまいさぎ(関東)、こせ(紀州)、こせあじ(高知)、そうじ(沖縄)
    目のうしろから尾にかけて黄色の縦線が走る。美味な高級魚である。
  • マルアジ(丸鯵) ムロアジ属
    地方名:あか丸鯵ぜ(東京)、ほんむろ(和歌山県)、ながうお(沖縄)
    マアジに対して腹部の断面が円いことからマルアジと呼ばれる。
  • ムロアジ(室鯵) ムロアジ属
    地方名:あかぜ(東京)、みずむろ(西日本各地)、むろ(四国・中国)
    名前は播磨の室津でたくさん獲れたことに由来。くさやに適した種類である。
  • カッポレ(活惚) ギンガメアジ属
    地方名:クロカッポレ(小笠原諸島)ガーラ(沖縄)
    熱帯域に生息。名前は釣り上げたとき浮き上がる様が、「かっぽれ」を踊る様子に似ていることに由来。

マアジの大漁はシケの前が多く、満月の夜には釣れない?

 北海道から九州まで、ほぼ日本全国で漁獲されるマアジは、長崎県の五島列島西側周辺での漁獲が特に多いとされています。石川県での主な漁期は、4月〜8月で、漁獲時の水温は21度前後が適温といわれています。またマアジは、大きな群れをつくって移動する習性をもつために、巻網や定置網などで漁獲されることが多い魚です。そんなマアジは、海が荒れるのを予知する能力があるらしく、海が荒れる前にエサを食べるので、シケ前の大漁が多いのです。
 アジは、巻網で多く獲れる魚です。巻網漁では、まず灯船が魚群を探し、集魚灯(しゅうぎょとう)を使って魚を海面近くに集めますが、満月の夜は月明かりが明るいために集魚効果が低くなるので、月夜間と呼んで漁を休む慣習が残っています。今では、乱獲を防ぐことや資源保護の意味も備えています。

※「シケ」とは強風などの悪天候のために海上が荒れること。

スタッフ

Fのさかなおもしろ図鑑Vol.4で
アジを詳しく載せています♪

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